掛軸の店頭買取をさせて頂きました。

9月9日（土）に掛軸の店頭買取をさせて頂きました。

◼️ご相談

お電話にて、「家に30本～40本ほどの掛け軸があり一度見て欲しいのですが、お店に持っていっても良いでしょうか？」とご相談をお受けいたしました。

当店では店舗がございますので出張買取、店頭買取の両方に対応しています
ご自宅をお聞きいたしますと、京都府の舞鶴市という事で、京都市と舞鶴市間は車で1時間半～2時間ぐらいです。
お客様には、「もしよろしければ、ご負担がないようにこちら側から出張買取にお伺いいたしましょうか？」とご提案させて頂きましたが「こちらから伺いますので」との事で、日時を決定してお待ちいたしました。
買取のお仕事はお品を見ないことにはなんともいえない部分が多々あり、せっかく持ってきてもらっても余り高くお値段がご提示できなかったりすると気の毒であったりしますが、「家まで知らない業者に来てもらうのはちょっと」とか、「ちゃんとしたお店があるのか確認したい」などの場合から店舗買取をご希望されることもございます。店主の私は仕入れや買取に出ている場合もありますので、大変お手数ですが、お店まで来られる際には一度ご連絡いただけるとスムーズにご対応出来るかとも思います。

◼️査定

お客様が来られ、車から店頭にたくさんの掛軸をお持ちいただきました。
当たり前ですが、当店ではどのような掛軸も1本1本、丁寧に拝見して見定めていき、時代の古いもの(江戸～昭和戦前)から新しい物(戦後以降)、絵師、図柄、しみ等の状態などを確認して1本でお値段が付けれる物、まとめてならお値段が付けれる物に分類いたします。掛け軸の買取では星の数ほど居る絵師の知識が必要となり、当店では幅広い知識で掛け軸の買取を得意としています。

掛け軸の買取の現状

骨董品の値打ち判断として掛軸を思い浮かべる人も多いのではないかと思いますが、以前の日本の床の間のある生活では最低でも季節ごとに、あるいは12ヶ月ごとに床の間の掛け軸を替えており、高名な作家ではない掛け軸の需要もございましたが、現在はそうした生活習慣がほぼ無くなり掛け軸の需要が著しく低下しております。ライフスタイルの変化により掛軸離れしているのが現状です。

また、掛け軸は多くの作家の知識と、真贋の判別（掛け軸は贋物が多い）が必要で、同業者でも掛け軸の買取を苦手としている方が多く、そのため、全部まとめていくらという買取をされる方も多くおられます。当店では出来る限り、絵師、図柄などを考慮して高価買取とはならないものでも出来る限り1点ずつ評価・ご説明する事にしております。

もちろん、江戸期のような古いお品はなかなか残っていなく高額にて評価できるお品もありますので、旧家で掛け軸がたくさんある、身内が集めていたなどなど、お気軽にご相談くださいませ。

さて、1本ずつ査定できたお品としましては、明治期の女性南画家野口少頻の山水図や、円山派の祖円山応挙の寿老人図（模倣品）、漢詩人頼山陽の書、狩野派久隅守景の花鳥図、琳派の酒井抱一の狸図、南画家田野村直入の山水画、また、絵師としては名前が通っていなくても人気の虎図や鶉の図などよく描けていたお品については1点にて査定をさせて頂きました。

本物のお品と模造のお品もあった中で特に野口少頻や酒井抱一のお品はよくかけておりましたので、しっかりとしたお値段をご提示できたのではないかと思います。逆に円山応挙のお品は模造品で本物でしたら高額買取対象品でしたが残念でした。

江戸期の掛け軸で名前が大きい絵師の作品ではほぼ100％偽物が存在いたします。それはその絵師の弟子やそのまた弟子が自分の作品では食べていくのが苦しく先生の名前で作品を描いていたのが通例となっていたためです。その他の掛け軸の絵師の名前が通っていない、図柄が好まれない、しみ等の状態が悪いお品はまとめてにはなりましたが、しっかりとお値段をお付けいたしました。