こんにちは、買取担当者の長尾です。
前回の作品紹介では清水七兵衛の京焼 「青華京名所急須」をご紹介しましたが、今回ご紹介するのも同じく京焼陶工作品。高橋道八の急須です。
高橋道八といえばその窯を守り続けている陶家で現在では九代目がご活躍されております。
この急須はその伝統と長い歴史の中でも特に名工だとされている二代目 高橋道八、通称、仁阿弥道八の作品でしかも隠居後に築窯したとされる桃山窯の作品です。
作品には漢詩で「十二先生相伴来 宇陽春色煮岩臺」と書かれており、蓋に亀の摘み、蓋の文様は雷紋が施されているのが特徴です。
漢詩を直訳すると
「宇(大きい屋根の下)で岩の台にて陽春色煮(春が旬の料理)を十二先生(中国の1200年代の茶人)と相伴って食べる」
意味はよく解らないのですが、先人の教えは守りなさいとか何かの例えじゃないかと思います。
亀の摘みには中国の四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)や四霊(鳳凰、麒麟、龍、亀)のひとつとして神聖な動物としての思想があり、また、蓋には中国の伝統的な幾何学的文様の雷紋をあしらっています。
全体的に見てこの作品は中国伝来の染付けの呉須を模した作品で二代高橋道八が多種多様な作域を持っていたことが窺い知れ、それでいて癖のない作品に仕上げています。
隠居後の桃山窯の作品ですので、今までの仕事から解放され自分の本当に造りたかった物、陶芸の始まりは中国から伝わった物ですので根本の原点回帰に傾倒していたのかもしれませんね。
最後に雷紋は今でもこんな形で目にしますよ、普段は気にかけないですが、意外と身近ですね。
おいしそうー