美術品、特に作家作品の査定には大きく4つのポイントがあります。
古美術丸尾では査定の際に、主に下記の4点を確認し、お値段を付けさせていただいております。美術品を売却される時はもちろん、買われる際にも大事になってくるポイントですので、ご紹介させていただきます。
1.作家さんの名前
作家名は評価で一番判りやすい基準となる物です。骨董品などの時代価値がないものに関しては、作家の知名度や美術市場の価値が大きく評価の基準となります。しかし、必ずしも評価と買取価格が比例する物ではありません。美術品の買取には需要と供給が大きく関わってきますので、美術評価が高くても買取金額が低い作家や無所属作家や個展を中心とした活動をされている作家の中にも高価買取の作家作品もあります。
2.作品の状態
作品の状態が悪いと、どれだけ売れる作家さんの作品でも買取価格は極端に低くななったり、最悪の場合、買い取り出来ない場合もあります。
画像①
画像②
上記の画像は人間国宝の清水卯一さんの汲出椀です。画像①は正常の物で画像②の茶碗の口(椀の縁)には釉ハゲがあります。こういった小さな傷やハゲ、絵画の場合は、染みや汚れなどでも大きく買取評価が下がってしまいます。
作品は形ある物、当然、長い年月を迎えると劣化していきます。しかし、風通しの良いところに保存する、保存の際は、しっかりと新聞紙などで梱包を行うなど、少しの手間をかけて物を大事に扱う事で大きく保存期間や保存状態は変わってきます。作品をお持ちの方は美術価値を下げない、より良い作品を長く未来に残すため、心がけてみてください。
3.共箱の有無
こちらは作家作品には紙箱、木箱に入っている物があります。もちろん木箱に入っている物が上手なのですが、木箱にもモミ箱、桐箱、桐箱二重箱などランクがあり、そうした作品は買取価格が高額になる可能性が高いです。
お客様の中には、「箱がボロボロになっていたので、捨ててしまいました」とおっしゃる方もあられるのですが、ぜひ、箱はどんな状態の物でも大事に残しておいてください。ボロボロでカビが生えた箱でも、箱があるとないとでは大きく金額が変わります。もし、箱に書付(書付とは?)などがあった場合は付加価値が付く場合もあります。その他にも紙や袋などの付属品がある場合も大事に取っておきましょう。
逆に、箱が無い作品は買い取れない場合があります。
4.作品の製作時期や作風
同じ作家さんの作品で共箱もあるのに、Aの作品とBの作品では買取価格に違いが出る事もあります。
それは同じ作家さんの作品でも製作時期により作風や形状がかわり、若い頃の作品は前作(まえさく)と呼ばれ低い評価になり、一般的には晩年の作品の方が高い評価が付けられます。
画像①
画像②
上記の画像は、青白磁の作品で有名な深見陶治さんの作品2点です。
柔らかな色合いとフォルム、そして所々に見えるシャープさが人気の作家さんです。
作品のサイズとしては、画像①の方が大きいのですが、画像②の作品の方が口の周りに見える装飾や、フォルムがシャープさを出し、深見陶治さんの作風を強く感じさせてくれます。その為、画像②の作品の方が高価買取になります。その他に現代の流行がボテっとデザインよりシャープさが好まれ、需要が高い事も理由の一つです。
おわりに
今回は美術品、特に作家作品の価値・価格を決めるポイントをご紹介いたしました。作品の売却や保持されている方は、ぜひ、ご紹介したポイントを参考にしてみてください。
買取価格は日々変動しております。流行り廃りはもちろんのこと。美術品を長くお持ちいただく事で、美術価値が高まり高価買取になる場合もありますが、保存状態が悪いと、美術価値が高まる以上に価値を落としてしまう事もあります。
特にご家族のコレクションで、興味がなく放ったらかしになってしまっているという場合はご注意ください。作品の価値を日々下げている可能性がありますので、保存状態の確認を行うか、管理が難しい場合は買取に出すこともご一考くださいませ。
ぜひ、この記事を読んでいただき、今どのような美術品が人気なのか、どの作家に注目が集まっているのかなどの、その時々の流行や、コレクションがしっかりと適切な形で保存できているかなど骨董品に興味を持っていただけるキッカケになれば幸いです。
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